自営業、会社経営者の債務整理

事業主の方の相談は、長引く不況により会社の体力が弱ってきている理由が一番多く見られます。
特に、ここ数年、事業者の方からの相談が急増していますが、内情は悲惨の一言です。

一番多いのが建築関係の方の相談です。次いで飲食業、運送・配送業と続きます。いずれの事業主の方も方々を当たってやり繰りしながら経営されていますが、不況にまつわる様々な事由で、努力しても努力しても追いつかず、完全に悩み果てた末の相談が非常に多いのです。

相談される事業主の方の特徴は、自身や家族の財産を経営資金に回し、更にはあらゆる縁故を辿り、それでも追いつかない場合は、社員までも連帯保証人にしてしまい、まさに「首の回らない」状態で相談にこられるケースが後を立ちません。

また、それらの事業主の方は一代で財を成した方が多く、責任感があり最後まで責務を果たそうとする方ばかりなのも特徴です。
しかし、ここまで末期になってしまうと、手の打ち様は限られてきます。


皆さん企業に関する知識は専門家並みのですが、「会社の潰し方」を知らない場合が殆どだからです。ですので、多少厳しい状況であっても自己破産すれば何とかなると思っている方が多く、少々の無理をしても大丈夫と思っている方が多くおられます。

この点がそもそもの間違いであり、自己破産や倒産についても相当の金額がかかることをご存知でない場合が多いのです。自己破産といえば、何故だかタダ同然でできるもの、という認識が広まっているようですが、会社の場合はそうはいきません。

自己破産は個人の財産がある場合は、最低50万円、法人では最低100万円の費用がかかります。更に利益や規模により、裁判所がその資力の裁定を行います。また、それに加えて弁護士費用も必要で、これにも凡そ30万円以上の金額がかかります。時には弁護士から数百万円の費用を請求されたと聞くこともあります。


この場合事業主の方が望まれるのは、事業の存続と財産の確保ですが、これらは非常に大変な事と言わざるを得ません。いずれの方も「不況」を理由にされていますが、内情を聞けば、経理がずさんであり、事業主自体が「丼勘定」である場合が多いのです。ですから、気づいた時には、どうしようもなくなっている場合が多いのです。まずは自身が勉強不足であったことを認識し、過去の自身と決別することが必要です。

そして、周囲にかけた迷惑を反省し、新しく生まれ変わることが重要になるのです。「不況」は理由になりません、まずは自分の責を認めなくては今後の経営も難しいものになるでしょう。


財産については倒産の危機があることを踏まえ、破産法で禁止されている財産の処分や譲渡を行わないことが重要です。実に4割以上の方が相談に訪れられる前にこれらの方法を取られていたり、名義変更を行われていたりしていますが、これは大変危険な行為です。なぜなら、これらを理由にして自己破産を認められない場合があるからです。

このタイプの借金は、まず非常に高額であることが特徴です。その為、複数の債権者を抱えています。

真っ先に把握するべきことは、自身の会社がどのような経営状態になっているかを知ることです。借金のある会社は既にオーバーローンの状態に陥っていることが多く見られますが、これらは逆の視点から見れば、まだまだ会社に資力があるとみなされて貸し出されている場合が多いのです。


ですから、現状の会社の経営状況を正確に把握し、経理状況を細やかに見つめなおすのです。そうすれば、切り捨てられる部分や節約できる部分が必ず見えてくるはずです。徹底的なコスト削減を行い、無駄をなくし、常に会社のお金の流れをしっかりと把握するべきです。

金策に走り回るだけでは、事業主としては失格とすら言えます。


実際に過去に徹底した経費の見直しを行った会社がいくつかありますが、その効果は絶大なものでした。いずれも個人経営の会社だったのですが、半年間で実に数十万円の経費が浮いたのです。倒産する会社はどこもルーズな経営を行い、それまでの慣例や惰性で運営されています。これらを如何に早い段階で見直しできるか、が再建の重要な鍵になるのです。

倒産する前に打つ手はまだまだあります。これらは売り上げが見込める会社であったり、健全経営を行っていたけれども、取引先の倒産等の影響で、経営状態が悪化してしまった企業に有効です。これらの場合は「民事再生法」と「会社更生法」の適用を行います。

これらの法律は、債権者に債権放棄を迫り、借金を圧縮し、会社を存続させる代わりに徹底的な経費削減と経営の見直しを図るものです。多大な努力は必要ですが、会社を存続させる可能性が高まります。
万一、経営的にも資金的にも限界が来た時には、手持ちの資金があるうちに早めに倒産させるべきです。

周囲の信頼を失う前に、速やかに責任を取り、再起にかけることが以後の再建においても布石になるのです。

この場合には金額が大きい為、会社と事情主、及び連帯保証人全てが「自己破産」を選択するべきです。