収入減による借金で債務整理

会社員や所謂ワーキングプアの方の相談を受ける中で一番多い特徴は「大幅な収入減」です。

昨今、残業代を含む賃金・ボーナスの大幅なカット、または、支給そのものが無くなってしまう事も珍しくありません。

会社組織の見直しによる統廃合などで、単身赴任を余儀なくされてしまうなど、勤めている会社は変わらぬものの、実質の給与からの出費が大幅に増えていると厳しい状態に陥ります。更には人員削減により、サービス残業を行わなければ仕事が終わらない、と言った、悲鳴の様な相談をよく受けます。

これらは業種に問わず、ほぼ全ての企業で確認されており、厳しい現状は耳にされた事があるでしょう。

例えば、建設業に従事されている方は、「平成の大合併」による弊害をまともに被り、市町村合併によりそれまで複数だった発注・入札が激減し、競争力の弱い業者は落札できず、仕事の無い状態という切実な問題が浮き上がっています。

また、年収900万円を越え、役職にもついていた技術者の方の例ですが、念願のマイホームを購入後、本社の経営状態が悪化し、業態が独立採算制となり、この方の部門は子会社化されてしまいました。本社に残り、新しい業務を覚え直すか、子会社に移り同じ業務を行うかの選択に迫られました。この方は子会社に移ることを決められ、賃金が大幅にカット、一気に年収は600万円となり、300万円の年収減となりました。


また、他にも昇進により管理職となり、残業代が支給されないため年収が2割減になって苦しい生活を余儀なくされている方もいらっしゃいます。
このような事案は現在日常的に起きており、多くの方が悩んでいると言えます。

このような方の多くは借金の構造が二重になっています。

第一に物品や旅行などの購入により、元々借金があること。これは自身と家族の為のものですし、仕事への励みにもなる為決して悪い事ではないのですが、無理のあるものではない場合が多く、通常通り仕事を行っていれば何ら問題はありません。しかし、一旦「収入減」になってしまうと生活が一変してしまいます。これが第二の理由です。

収入額が減っても、今までの生活水準を落とせず、そこで「生活費が不足している」と感じると、それまでの金銭感覚から「すぐに返せる」と判断し借金を重ねてしまい、多重債務に陥るパターンです。
安易に借金を行っているとは限りませんが、月々の収入が決まっているため、無駄な浪費をしたり、皮算用で物品を購入するのも特徴です。

多重債務に陥らない為には、日々家計簿をつけ節約をし、「無駄なものは買わない・出費はしない」事が大切です。また、翌月の給与やボーナスを当てにせず、一月単位で家計を考えることが重要です。
それでも借金の返済ができない場合は、債務整理をお勧めします。この場合は状況により、「任意整理」「特定調停」「自己破産」のいずれかの方法が効果的です。


持ち家がある場合の債務整理について


持ち家の方は「ゆとりローン」の落とし穴にはまっている場合が多いので注意が必要です。1933年(平成5年)から導入された「ゆとりローン」は、現在「和製サプライムローン」として問題視されています。

「ゆとりローン」の仕組みは金利が2段階、支払いが3段階になります。当初は2.0~2.5%の低金利かつ75年ローンの返済額が適用されます。しかし、6年目以降のは同じ金利で35年払いに変更されます。そして11年目以降は4.0%の通常金利となり、購入から2段階に金利が跳ね上がる「ステップアップ金利性」なのです。

「ゆとりローン」の問題は、実は4.0%の通常金利が「適正金利」であり、この4.0%で支払わなければ元金は減りにくいシステムになっている為です。通常金利支払いが始まる「ゆとり返済」期間中の11年目までは、ただ利息のみを支払っている状態であり、11年目以降の通常返済からが本来の返済額となり、残りの年月で元金を支払うことになる為、月々の返済が大変高額になります。

例えば、2,500万円の家をこの「ゆとりローン」で購入した場合は、当初は月々5,5万円程度の返済なので、殆どの方が住んでいる賃貸物件よりも安い印象があり購入してしまいます。しかし、6年目には月々7万円程度、11年目以降になると10万近くまで支払いは増加するのです。自己破産が急増しているのは、この制度が重大な問題であるとして2000年4月を以って廃止された、同年頃にこの制度を利用して家を購入された方々です。


「ゆとりローン」等を使わずに家を購入した方にも同様の問題があります。「ゆとりローン」程ではなくとも、殆どの金融機関で住宅ローン商品はステップアップ金利を導入しています。最近でこそ低金利・均等払い商品が出てきましたが、依然「ゆとりローン」同様ステップアップ金利に悩んでいる方は多くいます。

家を買う場合は売買契約書を良く読み、将来の自分の支払うべき金利も含めた月々の支払額をしっかりと把握することが大切です。

相談を受ける中でこの支払額を把握している方はごく一部であり、ステップアップの時期に通知が来て初めて支払額を知った、と言う方が殆どです。ですから、「自分は大丈夫」と思って、今の賃金レベルでローン等で買い物を多くしていると、そのローンが払い終わらないうちに家の金利が上がり、首が回らない状態になるのです。

大切なことは、ステップアップの時期を知り、それまでに家のローン以外の借金やローンを返済しておくことです。しかし、どうしても無理な場合は子どもの年齢が若いうちに早めに債務整理をい、最もお金がかかる高校・大学の入進学する頃に間に合うようにするのです。

このタイプの方の場合は「家を残したい」と言う方が多く、その場合はローン返済中の家を残せる特約のある「個人再生」や家以外のローン等を減額する「任意整理」「特定調停」などがお勧めです。